運転士用の懐中時計はセイコー、車掌用の腕時計はシチズン。
(車掌さん向けのセイコー懐中もありますが)

ながらくすみ分けてきた両社と思われましたが、
思わぬところから妙な「シチズン鉄道時計」が現れました。

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実は“まつもと”も存在は確認しながらも手元で見るのが初めての
シチズン機械式鉄道時計です。

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昭和49年、営団地下鉄(現・東京メトロ)の運転士に貸与された時計です。
実は営団地下鉄は、セイコーの鉄道時計も普通にお使いになってまして、

「営団サマから両社に発注するよ! デザインは『鉄道時計』に統一してね!
 運転士が混乱すると危ないからね!」

というコトかどうかわかりませんが、シチズンの鉄道時計、
セイコーの鉄道時計と似ています。
いや、似せたんでしょうね。

このシチズン鉄道時計のムーブメントは、おなじみ「シチズン・ホーマー」と同じ
Cal.0200を搭載しています。

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こっちが本家本元のCal.0200搭載の「シチズン・ホーマー」

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せっかくなので、ほぼ同期の「ともに腕時計ムーブ流用の仲間」
昭和48年の国鉄中三針(61スカイライナー)と記念撮影です。
元のムーブの影響で、セイコーは6振動、シチズンは5振動。

シチズンの方が、メーカーロゴのせいか間延びした感じがします。
ただ、やや青みがかった文字盤が「ホーマー」らしくていいですね。

セイコー鉄道時計が圧倒的なシェアを持っていたと考えられますので
シチズン機械式鉄道時計がどの程度製造されたのかは
ちょっとわからないです・・・。

そして、ちょっとわからない点の多いクオーツムーブメント搭載の
鉄道時計が手元にあります。

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Cal.3831クオーツムーブメントの鉄道時計です。
実際に手に取るとわかるのですが、
書体は「鉄道時計」のそれなのですが、なぜかものすごい細字。
針と干渉してしまい、決して見やすいとは思えない鉄道時計です。

実際に運転士に貸与されたのかどうかは確認できていませんが、
イベントの記念品や、鉄道会社(主にJRかな)の「○○記念時計」の
ベースになっていたようです。

ちなみに、写真の時計は裏ブタがドーム型の刻印なしツルペタ仕様です。
(裏ブタの裏側に製造番号などの刻印がされています)

さて、シチズンの懐中時計が鉄道時計として本格的に採用されたのは
国鉄民営化後のコトです。

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これはCal.4766を搭載した鉄道時計。
シチズンを採用している鉄道会社は、主に近畿地方に集中しています。
JR西日本、JR四国、H2Oグループ(阪急・阪神)、お京阪、
南海電鉄、近鉄、山陽電鉄、大阪市営地下鉄などなど・・・

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この裏ブタを見ると、JR西日本神戸支社に納品されたことがわかります。
時代の流れか・・・レーザー刻印ですね。

ところでCal.4766というのは本来、民営化後の「CQ」のムーブメントとして
開発されたものです。
セイコーのダイバーと同じようにクオーツゆえの弱点がありますが、
針の厚さをギリギリまで削る軽量化が功を奏したか、
(シチズン鉄道時計は安っぽいと言われる理由??)
きっちり時刻を刻んでいますよ!

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Cal.4766と言えば、JR「CQ」だよね(写真は東海・西日本ver)

シチズンが面白いのは、機械式の時に「セイコーに合わせといて」
とデザインを強要された反動か、民営化「CQ」そっくりの
Cal.4769も納品しているところです。

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上の写真の「CQ」そっくりですね。
文字盤6時上の「JR」ロゴから、JR西日本使用のものですね。
JR四国JR納品分は水色の「JR」ロゴです。
なお、鉄道時計ではこのモデルCal.4769だけが
なぜか「ねじ込み竜頭」を採用しています。
そこも「ダイバーズ」の技術の流用なの??

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ねじ込み竜頭を引き上げてハック状態にしてみました。

実は、このCal.4769ですが、JR西日本のクレカポイントで
入手可能だったんです。

使用年数が過ぎたら徹底的に回収するシチズンにしては、
そして一般販売を頑なにやらないシチズンにしては、
奇跡的な大盤振る舞いですね。
(※ そのため、市中に出回るシチズン鉄道時計は
   セイコーのに比べ圧倒的に少ないんです)

さて、今年2017(平成29)年は、国鉄分割民営化
つまりJR発足30周年なんですよね。

それと関係あるのかないのか、アメ横あたりの雑貨屋や
Amaz〇nで売られている、誰が見てもパチモンの
鉄道時計があります。
(買うのがあまりにももったいないので、拾い物の画像です!)

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いろいろ突っ込み所があるわけですが・・・
 ・「日本國有鐡道」と旧字体を使っていますが、
   →旧字体の頃(戦後の一時期までね)は2針+スモールセコンドだよね!
   →それにそこはメーカー名が入るところ!
 ・針短すぎ!
   →明らかに腕時計(実売価格3000円くらい?)からの流用だね!
   →せめて針の太さと長さをどうにかすれば、まだ許せた範囲かも。
 ・メーカー名と産地がどこにもない!
   →まあ、冥土イン・チャイナなのは確実ですが・・・
   →それにしたって「フランク三浦」ほどのかわいげもない!

なんせ裏ブタが、

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ひどいやっつけ仕事だなあ。
こっちは「鉄道」って新字体なんだ。
恥ずかしくて使えませんね(時計オタクにも鉄道オタクにもバカにされそうで)。

中華製ならロレックスのS級コピーの方を見習え! と言いたくなる
(偽物を奨励している意図ではありませんよ!)
雑なデザインと作り・・・
(19セイコーのガッチャの方がまだ本物に近い!)

某ネットショッピングのAm@zonでは
高評価のレビューが多くて・・・ああ、こりゃあカモにされるわぁ、
と大きくため息をつきながら、
鉄道時計・懐中時計編を〆たいと思います。

長々とお付き合いありがとうございました。
(腕時計編もやりますよ!)